東南アジアのなかで、最も子どもの死亡率の高いカンボジア。この国には、治療の一環としての病院給食がありませんでした。
FIDRは1993年から、首都プノンペンにある国立小児病院(National Pediatric Hospital: NPH)を拠点に小児外科医療の発展を支援してきました。この取り組みの中で、入院患者の栄養状態が悪く、病院が適切な食事を提供できていないために、治療の効果が上がりにくいという課題を見つけました。
これまでの国立小児病院の給食は1日2回、午前10時にご飯とスープ、午後3時にご飯のみという簡素なもので、栄養への配慮はされていませんでした。また、患者の家族が厨房まで受け取りに来るシステムで、用意できる給食は患者の3~4割分のみであったため、受け取れなかった患者は外から買ってくるなどしていました。
患者の子どもたちのへの治療効果を高めるためにも、栄養バランスの取れた給食が必要とされています。
厨房に給食を受け取りに来る患者の家族たち | これまでの給食の献立 |
国立小児病院における治療効果の向上のために、患者の栄養状態の改善を図ります。
FIDRは、国立小児病院が自立的にすべての入院患者に適切な病院給食を提供できるようになることを目指して、2006年に「国立小児病院給食支援プロジェクト」を開始しました。
当プロジェクトでは、主に以下の取り組みを行っています。
①.給食棟の建設と、給食を運営する部署(栄養科)の設置
②.入院患者への給食提供
③.患者の年齢や病態に応じた給食を指示出来る給食処方システムの確立
④.保護者に対する栄養教育の教材作成
⑤.国立小児病院への給食運営の移譲に必要なマニュアル等の作成
プロジェクトの計画段階から、日本人の管理栄養士が現地に常駐し、カンボジアの食材や食文化を緻密に把握して、現地に無理なく導入できる病院給食の実現とその段階的な発展を進めています。
このプロジェクトは、2014年3月に終了しました。
8年間のプロジェクトの成果と今後への課題については、以下の記事をご覧ください。
【8年間のプロジェクトを振り返って】
①7年間で、7種類の給食が提供できるようになりました
②患者にぴったりの給食を選び、確実に配膳できるようになりました
③8年間で達成できたことと、これからの課題
【今後の活動について】
④「給食支援」の新たな一歩を踏み出します