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給食プロジェクトの担い手たち ~日々奮闘する12人

(2007年8月29日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


給食部のミーティングの様子

 今年2月、病院給食開始に先立ち、病院の給食運営を担当する「給食部」を新たに組織しました。現在のメンバーは、医師2名、看護師1名、調理員9名の計12名です。


<その1 「給食部」の責任者たち>
 主任のチー・カムホイ医師(写真右端)、副主任のリム・ソチェト医師(同右から2人目)は、毎日の忙しい診療業務の合間を見つけては、調理員たちに栄養知識の指導を行っています。また、円滑に適切な給食を実施するための話し合いを重ねています。(写真参照)
 主任アシスタントのモン・シ・ミン看護師(写真中央)は、いわば「現場監督」として食材等の発注から受け取りまで、及び、患者数の管理などを行っています。また、彼は主任、副主任と他の調理員との間をつなぐ役割も担っています。

<その2 調理員たち>
 患者さんのために、衛生的な環境で美味しい給食を作ることが調理員たちの主な仕事です。また、日々の配膳や下膳などの場面で、患者さんと接する機会が多いのも彼らです。「空腹を満たすためではなく、治療の一環として、衛生的に管理された厨房で栄養の配慮がされた」病院給食の特別な意味を少しずつ理解し、配膳時での患者さんとのちょっとした会話の中で病院給食の大切さを説明できるようになることを目指しています。

 日々大忙しの給食部メンバーたち。まだまだ新しい給食部ではありますが、病院の中の大切な一部門として機能していくための基本となるチームワークも、日々強固になってきていると感じます。
 これから、給食部メンバーの紹介を少しずつしていきます。



先週の配膳人数

(2007年8月28日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年8月20日~26日

1592人

118人減



先週の配膳人数

(2007年8月20日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年8月13日~19日

1710人

25人増



給食を届けるまでの「険しい道のり」

(2007年8月20日)
カンボジア事務所 パン・サン


傾斜の厳しいスロープ

 4月に新しい給食システムが始まってから、一人ひとりの患者さんに給食を食べてもらうため調理師さんたちは給食を配膳車で各病棟に運び、患者名を確認して配膳しています。
 配膳前の最後の難所が、このスロープ。この病棟にはエレベーターがないので、配膳車を2階に運ぶ際、スープや食器をこぼさないように気をつけながらこの長いスロープを3人がかりで重い配膳車を押していきます。

 
「スロープはV字型になっていて、上がり始めの傾斜はさほどでもないのですが、V字を曲がった所から急になるのです。始めはコツがわからなくて、配膳車を押す勢いが足りなかったり、押す呼吸が合わずスロープの途中で配膳車が後戻りしてしまいそうになることもありました。他にも、スープをこぼしたり、熱いスープが自分にかかってしまったり、ご飯やおかずが入った鍋のふたが落ちてしまったりと苦労が多かった!
  スロープの特徴が分かった今は、V字の曲がり角の平らな部分(踊り場)で鍋を配置し直すなど一度体制を整えて、残りのスロープを勢いをつけて一気に上らなければならないということや、配膳車を押す人の配置や各自が果たす役割が分かったため、以前よりはスムーズに運搬できるようになりました。
 また、病棟の清掃員さんも給食が配られる時間がわかってきたので、運搬する人数が少ないときや女性だけの場合などは、階下で鍋をたたいて合図を送ると、降りてきて手伝ってくれるようになったのですよ。」
と、調理師のポーイさん、マリスさん、スーンさん。

 1日3回、朝・昼・晩「難所」を通る調理師さんたちは、既にここを乗り切る秘訣も身につけているようです。



先週の配膳人数

(2007年8月13日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年8月6日~12日

1685人

140人減


 患者数は、最多時の70%ほどにまで落ち着きました。



先週の配膳人数

(2007年8月7日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年7月30日~
8月5日

1825人

79人減


 1日平均の患者数は、250人程度となりました。デング熱流行前と比べると依然として多いですが、減少傾向が続いています。



先週の配膳人数

(2007年7月31日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年7月23日~29日

1904人

23人減


 デング熱の患者数の来院状況が、ようやく落ち着きをみせました。1日平均の入院患者数は270人程度です。給食棟で働く調理師たちの勤務時間は、今なお朝から晩にまで及びますが、休憩時間がきちんと取れるようになるなど、多少好転しています。



カンボジアの人々の食事:農村地域では?

(2007年7月25日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


 普段は首都プノンペンで勤務・生活しているのですが、地方の人々の食生活を知るために、4月の赴任後初めて農村地域を訪れました。行き先は、プノンペンから車で2時間のところにある、コンポンチュナン州のパヒー村とバンポン・パチェアック村。FIDRはここで、ロレイアッピア郡農村開発を行っています。午前中の民家訪問でしたので、旦那さんが農作業にでかけており、奥さんと子どもだけというお宅がほとんどでした。

 「村に住む人々が普段食べている食事を知りたい」と思い、何軒かのお宅で日々の食事の状況をインタビューしました。
家庭によってばらつきがあるものの、朝食はお粥、昼食・夕食はご飯とスープ(魚と野菜入り)が定番メニューのようです。魚や野菜を調理しないときは、シーアン(味噌としょうゆの中間のような調味料)でご飯を食べるという家もありました。市場が少し遠く値段も高いため、普段はあまり肉を購入しないようです。鶏を飼っている家でも売るために育てているので食べないし、卵も食べないと、村の人は話してくれました。
 訪問を終えて、村の子どもたちの体が「小さい」ということが印象に残りました。また、村の人は食べ物に予想以上に現金を使っているように感じました。例えば、朝食のお粥を近所の店から買っているという家庭もありました。

FIDR給食支援プロジェクトでは、今後、入院患者・その保護者などへの栄養教育も行なっていきます。一度の訪問で村人の食事や栄養摂取状況を全て理解するのは難しいのですが、今後も日常的に人々がどんな食事を摂っているのかを観察し、栄養教育の内容を考える参考にしたいと思います。


一般的な台所。このお宅はとても清潔で調味料なども整理整頓されていました おばあさんが筍を準備しているところ。筍は森から取ってきたそうです

一般的な台所。このお宅はとても清潔で調味料なども整理整頓されていました

 

おばあさんが筍を準備しているところ。筍は森から取ってきたそうです


一般的な台所。このお宅はとても清潔で調味料なども整理整頓されていました

メニューも拝見。 これは「サムロープラハウ」(良いにおいのスープ、という意味)。カンボジアでは一般的なメニューで、国立小児病院の給食にもよく登場します。具の野菜はすべて家の周りで採れたもので、買ったのは小魚だけだそうです。具材は、 グリーンバナナやアマランサス、葉っぱ類



先週の配膳人数

(2007年7月24日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年7月16日~22日

1927人

18人減


 患者数はやや減少しましたが、ここ数週間の増減状況に比べると、大きな変化はありませんでした。



先週の配膳人数

(2007年7月17日)

期間 配膳人数 前週と比べて

2007年7月9日~15日

1945人

193人減


 6月中旬以降急増していたデング熱の流行による患者数は、ほとんどの日で300人を下回るようになりました。



超満員の病棟で、給食を配膳中

(2007年7月11日)


 デング熱の流行で、患者数が急増していた国立小児病院。
 内科の各病棟(写真)では、いずれも病室が満室で、廊下やロビーに患者と付き添い家族が寝ている状態です(カンボジアでは一般的に、入院中の子どもに家族が始終付き添います)。
 調理師たちは、その間を縫うようにして給食を配っています。配膳車がやってくると、とたんに周りに人々が集まります。
 同病院には、依然300人前後が入院中です。調理師たちは、すべての患者に定時に給食を届けるために、毎日朝から晩まで奮闘しています。

 急増した入院患者の子どもたちのために、皆様のご支援よろしくお願いします。
 詳しくはこちら


病棟の廊下の様子。ベッド代わりのゴザの合間を縫うように、配膳車を慎重に押していきます ロビーには、所狭しとベッドが並べられ、病室のように使用されています

病棟の廊下の様子。ベッド代わりのゴザの合間を縫うように、配膳車を慎重に押していきます

 

ロビーには、所狭しとベッドが並べられ、病室のように使用されています



先週の配膳人数

(2007年7月10日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年7月2日~8日

2138人

223人減


 デング熱の流行による患者数の増加は落ち着きを見せつつありますが、依然300人前後が入院中です。



先週の配膳人数

(2007年7月2日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年6月25日~
7月1日

2361人

556人増


  患者数はさらに増えており、300人を超え、400人に近い日もありました。



先週の配膳人数

(2007年6月26日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年6月18日~24日

1805人

253人増


  5月に雨季がはじまって以降、デング熱患者の来院が増えはじめました。
 先週は、国立小児病院(NPH)の患者数が急激に増加。 これは、6月17日に、保健省が「デング熱患者の治療費を無料とする」とテレビのニュースで発表したことによります。同日以来、ラジオや街頭宣伝カーで、デング熱に関する注意報やニュースが流れています。
  NPHにも、25日、ローカルテレビ局が取材にやってきました。現在NPHでは、病室が満員で一部の患者が廊下に溢れ出ている状況です。

 給食をつくる調理師たちは、ぐっと増えた配膳数への対応に一生懸命です。
  「給食棟が完成したあと作業体制・形態が変わり、仕事量が増えました。そこに、このところの患者数の増加。仕込みから調理、配膳、下膳まですべてのプロセスに時間がかかり、大変です」との声も聞かれます。
 患者の健康回復を支える彼らにとって、今が踏ん張りどきです。



先週の配膳人数

(2007年6月20日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年6月11日~17日

1552人

289人増


 入院患者が毎日200人近くとなり、外来にも沢山の人がつめかけています。



先週の配膳人数

(2007年6月14日)


期間 配膳人数 前週と比べて

2007年6月4日~10日

1263人

75人増


 雨季がはじまり、デング熱の患者が増加した5月中旬より配膳人数は毎週1000人を超えており、週ごとに微増しています。



新しい給食システム稼動後、こんな変化がありました!

(2007年6月1日)


プロジェクト開始〔前〕   プロジェクト開始〔後〕


調理風景は・・・

調理風景。しゃがんで床にまな板を置いて作業をしていた 調理風景。しゃがんで床にまな板を置いて作業をしていた

旧厨房での調理風景。しゃがんで床にまな板を置いて作業をしていた

 

新しい給食棟で給食の下ごしらえをする調理師たち。常に立位で作業する


給食の受け取りは・・・

給食を厨房まで受け取りに行かなければならなかった。受け取りも、早い者勝ち 各病棟に配膳にまわる。入院患者リストと照合して、確実に全員に配給される

給食を厨房まで受け取りに行かなければならなかった。受け取りも、早い者勝ち

 

各病棟に配膳にまわる。入院患者リストと照合して、確実に全員に配給される


食器は・・・

ビニール袋で受け取る人も多かった 専用食器を用意し、衛生的かつ均等な配膳ができるようになった。メニューは、昼食・夕食はご飯、スープ、おかず、果物かお菓子の4品。朝食はおかゆ

食器は自分で持参。ビニール袋で受け取る人も多かった

 

専用食器を用意し、衛生的かつ均等な配膳ができるようになった。メニューは、昼食・夕食はご飯、スープ、おかず、果物かお菓子の4品。朝食はおかゆ

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