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プロジェクトの今:給食の配膳を開始してから、2年が経ちました!

(2009年4月15日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 国立小児病院で給食の配膳が始まってから、今月で2年が経ちました。

 1年目(2007年度)は、普通の食事と病院給食(空腹を満たすためだけではなく、治療の一環として栄養が配慮されている)の違いに気づき、1日3食を「確実に」患者さんに届けることに専念しました。
 2年目(2008年度)は、給食を安定的に提供し、特別食の第一歩として豆乳配布を始めました。
 この2年間、給食を子ども患者に届け続けた、給食支援プロジェクトになくてはならない存在の調理員さんたちが、これまでを振り返りました。


●大きな厨房や調理器材で、作業を効率化!
「大きくてきれいな厨房と、ハイテクの調理器材を使いこなせるようになりました。厨房は広いですが、掃除は簡単にでき、いつもきれいに保っています。また、ハイテク調理器材で大量調理が楽にできるようになり、仕事の負担が随分減りました。」

短時間で調理ができるようになりました
●チームワークを育みました
「給食の配膳が始まってから、働く時間が長くなり、調理員の数も3人から9人に増えました。人数や仕事内容が大きく変わる中、時には行き違いやケンカもありましたが、それを経てお互いの気持ちや性格が良くわかるようになりました。1日も欠くことなく子どもたちに給食を届けるため、協力し合っています!」

チームワークの良い調理員さんたち

 カンボジアで初めて「病院給食システムづくり」に取り組んでいるので、給食支援プロジェクトに関わる給食部のメンバーや、その他の病院職員にとっては、何もかもが初めてのこと。新たなことや知識を彼らが受け入れるためには、指導やトレーニングを継続的に行い、少しずつ慣れてもらうことがとても大切だと感じています。
 2009年度は、本格的な特別食を開始する予定です!



プロジェクトの今:中華正月を乗り切り、子どもたちに毎日給食を届けました!

(2009年3月16日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


  中国のお正月(中華正月)はカンボジアでも祝われます。中華系の人々は、正月料理を作って祖先にお供えしたり、親戚が集まってみんなで食べたりして過ごします。
 プノンペン市では、中華系カンボジア人、中華系ベトナム人が住んでいます。その多くは商売を営んでおり、1月下旬の中華正月の前後一週間ほど、多くの店がお休みになりました。そのなかには、病院給食で使う食材を仕入れている個人商店もありました。

 給食は毎日子どもたちに届けなくてはいけません。そこで、この期間を乗り切るために、メニューを一部入れ替えて、長持ちする食材や保管しやすい食材を使って給食を提供することにしました。
 たとえば、野菜は傷みやすい青菜の代わりに持ちの良い人参やジャガイモを使いました。また、魚屋さんが特に長い間お休みでしたので、その間は魚の代わりに豚肉や卵を使ったりもしました。

 食材発注を担当している主任アシスタントの2人の看護師さんは今回のような場合に、どのように工夫して、乗り切ったらいいか、多くの学びがあったといいます。
 カンボジアでは4月にもクメール正月(カンボジアの正月)という長い休みがあります。今回はFIDRスタッフがお手伝いしたところも多かったのですが、次は、主任アシスタントが自分たちでメニュー決めから発注をするまでの手順を担えるのではと、期待しています。


中華正月の間はお休みの店が多く、
シャッターが閉まり、街は閑散としています

  子どもたちに毎日給食を届けるために、
食材を工夫したメニューを調理中


子どもたちに人気の給食ベスト3

(2009年2月16日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 NPHでは、長期間入院する患者さんはほとんどいないのですが、それでも病院に入院する子どもたちにとって、給食は数少ない楽しみの一つです。
 今回は給食を調理し配膳している調理員さんたちが日々、子どもたちと接するなかで分かってきた、人気の給食ベスト3を紹介したいと思います。

 調理員さんたちが口を揃えて言ったのは、とにかく酸っぱいスープの料理は人気があるということ。理由ははっきりとしていないのですが、入院中の患者さんたちの味覚が普段と変わっているということ、また、酸っぱいからこそ食欲もわくとも考えられます。


第1位 :マチュウ・ペンポース・トロラーチ(トマトと冬瓜の酸っぱいスープ)

食材はプロホック(魚の発酵食品)、白身の淡水魚、半熟トマト、冬瓜とタマリンド。
タマリンドの酸味と調味料であるナムプラー(※)の旨味が絶妙な一品です。

     

第2位:スガオ・ソーブ(じゃがいも、にんじん、青菜と豚肉のスープ)

食材は骨付き豚肉、じゃがいも、にんじん、青菜(白菜の一種)。
味付けにサトウヤシを使うので、砂糖の甘みと野菜や肉の旨みを出すことができます。

     

第3位:チャー・ボンレー(野菜の炒め物)

食材は豚挽き肉、キャベツ、小松菜、にんじんとたまねぎです。
サトウヤシ、ナムプラー(※)、塩を味付けに使うので甘しょっぱいしっかりした味になります。また、食材を細かく切り、しっかり炒めるので、野菜が柔らかく、食べやすくなります。


※ナムプラー…魚醤。タイ料理をはじめとする東南アジア料理で欠かせない調味料。魚を塩とともに漬け込み、発酵させて作る


 今回紹介したベスト3以外でも、子どもたちに人気の給食は沢山あります。栄養バランスのとれた食事をしっかりとって、入院中の子どもたちが一日も早く退院できるよう、これからも給食で応援していきたいです。



プロジェクトの今:食事の大切さに気付いた2人の看護師さん ~給食部メンバー紹介~

(2009年1月15日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


  給食部には、運営部門主任アシスタント兼調理部門主任(以下、主任アシスタント)という献立の作成、食材の発注から受取り、患者数の管理などを行う、重要なポジションがあります。今回はこの主任アシスタントとして、昨年7月から働いているイム・コンテァリー看護師とロッチ・ワリー看護師を紹介します。

 彼女たちは看護師として働きながら、給食部で給食運営に関する日常業務を行うほか、栄養学についても学んでいます。そして栄養に関する基本的な知識を学んだことにより、栄養素の働きや食事の大切さを理解し、自らの食生活を見直しはじめているようです。

 テァリー看護師は、自分だけではなく家族みんなが栄養素の働きを意識しながら、食事をするようになったといいます。例えば、ご飯とサツマイモはいずれも炭水化物なので摂りすぎないよう、同時に食べないようになったそうです。
 ワリー看護師は、これまでは野菜中心の食生活でしたが、血や肉を作るたんぱく質を多く含む肉類が痩せている自分には必要だと思い、肉類も食べるようになったとのことです。また、塩分の摂り過ぎは動脈硬化の原因の一つとなることを知ったため、これまで料理に濃い塩味をつけていたのを、食塩の量を控えるように家族にも伝えています。

 「食べ物は私たちの健康に関わることだし、栄養学はカンボジアの中で新しい分野のことだから学びがいがある。」と、この給食部の仕事に携わるようになって、栄養の事をもっと勉強していきたいと意欲に溢れている2人。

 栄養に関する知識を深めるとともに、その知識をカンボジアの子どもたちのために役立てていってもらえたら、と願っています。


 

ワリー看護師(左)と&テァリー看護師(右)。患者数から、発注する食材の量を計算します

 

主任アシスタントと調理員の朝礼。給食運営にかんする実務的なことを話し合います

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