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給食部のテァリー看護師、カンボジアの看護・助産界に栄養の大切さを提言

(2010年12月15日)
カンボジア事務所 高橋千佳(管理栄養士)


 11月16日、カンボジア国内の看護師や助産師300人が集った研究発表会において、国立小児病院(NPH)給食部のイム・クンテァリー看護師が、ポスター発表を行いました。この研究発表会は、看護師や助産師が研究や活動を発表する唯一の場です。

 テァリー看護師は2008年7月の着任以降、FIDRの支援による日々の研修で栄養の知識を学び、給食運営の管理業務に携わっています。
この研究発表会に際し、知識と経験を積み重ねてきた彼女の成長ぶりは、目覚しいものでした。準備に積極的に取り組み、自分の考えを発表内容によくまとめました。当日は、ポスターの前で栄養や給食システムについて適確に来場者に説明したほか、あえて困らせる質問をする人をうまくかわすなど、以前はFIDRスタッフの助けがないと何もできなかったことが嘘のように、大きく成長していました。

 さらに、テァリー看護師の熱意が研究会主催者を大きく動かしました。
実は彼女は、研究発表会で30人のみが行えた口頭発表に応募したのですが、栄養という主題が会の趣旨にそぐわないとの理由で、落選してしまいました。そこで主催者へ「なぜ栄養の重要性を話す会がないのか。栄養こそ、治療効果や患者の健康向上のために必要です」と提言したのです。
 その意見が会の最後に取り上げられ、主催者は「今後のテーマには、ぜひ栄養も含めたい」と明言しました。

 研究発表会を終えてテァリー看護師は、「栄養の大切さを発表する機会を与えられ、今回の参加はとても有意義でした。でも、まだカンボジアの看護師は、栄養の大切さを分かっていないと思います。栄養は、医療費を削減したり患者さんを早く退院させることができるのに。今後このような会でまた発表し、カンボジアの全ての看護師に栄養の大切さを理解して欲しいです」と語っています。
テァリー看護師の栄養への深い理解と熱い想いが発揮され、行動力が光る出来事でした。

ポスターには「医療(薬や手術)も栄養も、治療です」というメッセージを表しました。前に立つのがテァリー看護師

 

ポスターの前に立ち、次々と訪れる来場者に対応する。参加看護師・助産師は、皆大変熱心でした



カンボジアの、緑の食べ物

(2010年11月26日)
カンボジア事務所 高橋千佳(管理栄養士)

 カンボジア滞在も5ヶ月となり、地元の食べ物にもだいぶ慣れました。
 カンボジアの料理は私の肌に合っていたのか、3食カンボジア料理でもよい程です。
 今回は、私が今まで見た中から、「緑の食べ物」についてご紹介します。

 一つは、私のお気に入りである、生の胡椒。
実はカンボジアの胡椒は、かつて「世界一おいしい」と評されたほど良質で、栽培の歴史も、13世紀にまでさかのぼるとか。乾燥させた黒胡椒が主流ですが、生のまま(緑色)でもよく食べます。黒胡椒とはまた違った香りで、辛すぎずかつ香りがよく、とてもおいしいです。魚介や肉などと炒めてあることが多いようです。


丸の中に見える緑色の粒々が生の胡椒


 二つ目は、果物。
 カンボジアには、バナナ、パパイヤ、マンゴー、マンゴスチン、ランブータン、ドラゴンフルーツ、ドリアン、などなどいかにも南国風な果物がたくさんありますし、日本でお馴染みの柿も売っています。



 カンボジアの人々は、熟れたものはもちろんのこと、熟していない緑色のとてもすっぱい果物もおやつとしてよく食べるのです。塩と砂糖と唐辛子をまぶしたり、魚介を発酵させた臭みの強いタレを付けたりして食べます。緑のバナナを皮ごと食べていたのにはびっくりしました。

 果物は、カリウムの良い供給源です。カリウムには、血圧を下げたり、筋肉の働きを活発にさせる働きがあります。よって、汗をかいてカリウムが体の外に出て不足すると、筋肉の働きが悪くなり、夏バテの原因になると考えられています。 日本より暑い時期が長いカンボジアの人々は、知ってか知らずか、昔から果物を良く食べることで、体調を整えていたのかもしれませんね。

 すっかり慣れたつもりのカンボジア料理ですが、きっとまだ知らないことが沢山あると思います。これから色々「発見」していくことが楽しみです。



子どもたちへの軟食の提供が、軌道にのりはじめました

(2010年10月26日)
カンボジア事務所 チアン・ヴァンダエット(広報担当)


  「食事箋のおかげで、患者への給食の処方がスムーズにできます。7月に始まった軟食(やわらかい食事)のオーダーも、これでうまくいっています」 給食委員会(※)と給食部との会合で、委員の医師が満足げに語りました。

国立小児病院(NPH)に病院食事基準が導入され、全ての病棟で軟食の提供が始まってから、およそ4ヶ月が経ちました。軟食のオーダー数は、導入直後の117件(7月)から徐々に増え、最近では291件に(9月)至っています。

  「軟食オーダー数の増加は、病棟で働く医師や看護師が、病院食事基準をよく意識して患者の食事を考えるようになってくれたおかげです」と、給食支援プロジェクトを担当するFIDR職員ヴン・シヴレンは言います。

  とはいえ、ときに食事箋の記入の間違いも見られます。            
「給食委員会の医師たちに伝えたところ、早速、各病棟の医師・看護師に改めて指導してくれることになりました。彼らが給食の処方に一層注意を払い、間違いを繰り返さなくなることを期待しています」とシヴレン。

  同じメニューで一般食(通常食)と軟食とを患者ごとに区別できるようになった今、次の目標は、「カロリーやタンパク質、塩分などの計算をした特別食」を提供できるようになることです。給食部の職員たちは、NPHでこのような特別食を必要とする病気についての検討を始めました。

  一つ目標を達成したら、次の目標へ向かって進む。
 給食部職員たちとFIDRの挑戦は、続きます。

(※)給食委員会:病院食事基準の検討を目的に設置され、メンバーは、国立小児病院の各病棟の代表医師6名と事務の代表1名。同基準完成後は、給食の運用のために、給食部と定期的に協議をもっているほか、病棟の医師・看護師への日常的な指導も行なっている。



軟食のランチメニュー。ご飯はお粥、主菜は通常食より材料を細かく切ったり、軟らかく調理したもの

 

一人ひとりの患者に適した給食を届けたい。そんな気持ちで調理員は調理・配膳を行ないます



人々が、おいしく健康につながる食事ができるように

(2010年9月17日)
カンボジア事務所 高橋千佳(管理栄養士)


 今年7月より、専門家として、給食部職員の育成や病院給食への助言などを行っています。

 カンボジアに来て早2ヶ月。生まれて初めての東南アジアに、当初は不安でいっぱいでした。しかし、「ご飯食べた?」が挨拶代わりになるほど食事を大事にしている姿や、満面の笑顔でおいしそうに食事をする姿を見て、任務の一つである「カンボジアの食環境を良くすること」の重要性を再認識し、栄養士を志した理由、「みんなを食で幸せにしたい」を思い出し、不安は使命感に変わりました。

 今、給食部職員は、自分たちが海外研修で学んだ特別食や衛生管理方法を国立小児病院に何とか取り入れようと、一生懸命考え工夫しています。
 給食部職員同士で熱く議論している姿や、病院職員や患者に自分が知っている栄養の知識を精一杯伝えようとしている姿を見ると、感激し、彼らの可能性の高さを感じます。そして、その可能性をさらに高めたい、もっと助けになりたい、とさらに使命感が沸いてきます。
 一方、何もかもが順風満帆というわけではありません。一つの事を理解してもらえるまでにとても時間がかかることや、低賃金でたくさんの業務をこなす給食部職員に、モチベーションをいかに保ってもらうかなど、課題もたくさんあります。

 このような課題を乗り越え、カンボジアの人々が、さらにおいしく健康につながる食事ができるよう、これからも頑張ります!
 



新しいユニフォームに身を包んだ給食部職員たちと(下段左から2人目が高橋)

 

普通の食事が摂れない子どものため、ご飯に加え、おかゆがメニューに追加。配膳状況を確認する高橋(中央)

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