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プロジェクトの今:豆乳の配布を開始しました!

(2008年8月20日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 乳児や施術後の患者さんなど「普通の食事」が満足に摂れない子どもたちのために、国立小児病院では、患者の状況に合わせた特別食を提供する準備を進めてきました。

 いよいよ7月21日から、外科病棟に入院中の口唇口蓋裂(※)の患者さんを対象として、豆乳の配布をはじめました。患者さんの数は、同日以降平均7人ほどです。
 豆乳は、1パック125ミリリットル。昼食に3パック、夕食に2パックを配布しています(朝食はお粥の汁)。豆乳配布担当の調理員・マリスさんによると、配布した豆乳を飲み切って「お代わりが欲しい!」という子どももいるとのこと。
 患者の子どもに付き添う家族、特にお母さんは、豆乳の配布をとても嬉しがっています。なぜなら、口唇裂の子どもは「普通の食事」を食べることが出来ないからです。

 一方、まだまだ改善すべき点もあります。
 例えば、週末には配布が滞ってしまいました。在庫をしまってある倉庫の鍵は、調理員たちが週末使うことが出来ないようになっており、豆乳を出庫できなかったからです。今後は、滞ることなく毎日患者さんに豆乳を配布できるよう、改善していきます。

※口唇口蓋裂…口唇や上あごに披裂を生じて生まれる、顔面の奇形形態のこと


 

お母さんに豆乳を飲ませてもらう、
入院中の口唇裂の子ども患者

 

配布されている豆乳。
冷蔵庫がなくても保管できるので、安心



プロジェクトの今:調理員さん、病院外での研修に挑戦!③ ~研修中のエピソード~

(2008年8月1日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)
五十嵐(管理栄養士)

 前回紹介したように、5名の調理員さんたちは、7月初旬に院外研修に参加し、高級ホテルの厨房での実習を経験しました。彼らに、実習中のエピソードを聞きました。



ポーイさん
 

短パンの者、厨房入るべからず

いつものように、短パンのままで厨房に入ろうとしたら、研修先の職員に注意されました。このホテルの厨房では、長ズボンをはく規則になっていたのです。
短パンで厨房に入れない理由は、包丁などを落として足を切ってしまうかもしれない危険性があるからだと教わりました。このような配慮は、自分を守るために必要なのだと、納得しました。

     

ナンさん

昼寝ができず、体力確保に苦労

私達はいつも、昼食の後に休憩室で昼寝をしています(注:カンボジア人は昼休みに昼寝をするのが一般的。NPHの調理員さんにも、昼食後の昼寝は必須です!)でも、ホテルの調理員たちの研修の休憩室は狭くて、昼寝が出来なくて大変でした。

     

ソリアさん
 

いつも以上に、力仕事に奮闘!

僕は、NPH調理員の中で唯一の男性。しかも若いので、研修中には洗い場での仕事や力仕事をよく頼まれていました。仕込みで、40kgの骨付き豚肉を一人で切り終わった後には、疲れすぎてしまって、倒れそうになったくらいです!いつもは多くても5kgくらいなのでね。



プロジェクトの今:調理員さん、病院外での研修に挑戦!② ~1グループ目が研修を終えました~

(2008年7月22日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)
五十嵐(管理栄養士)


「私たちが作る給食は、病気の子どもが食べるもの。だから、薄味にした方がいいね」
 「ホテルでは、野菜や肉を煮込んで出汁をとっていた。病院でも、そういう自然の味を活かして、煮物を作ろうよ」

 6月24日に紹介した、調理員を対象とした初の院外研修。この度、1グループ目の調理員さん(5人)が2週間の研修を終え、様々な感想を抱いて帰ってきました。

研修に参加した調理員たち。
左から、サルーさん、ポーイさん、ナンさん、シナさん、ソリアさん


 研修中のスケジュールは、基本的に、午前中に2時間程の座学、その後は市内の高級ホテルの職員食堂・厨房で大量調理をする実習というもの。
 座学では、ビタミンやミネラルなど基本的な栄養の知識や、衛生、調理理論などについて学びました。実習では、タオルの使い分け、調理台を常に清潔にしておくこと、食材や料理の保存のし方、安全を確保し細菌増殖を防ぐための適度な保存温度など、衛生面で配慮すべき点を学びました。

 一方、課題も残りました。ホテルでは、調味料を計量せず長年の経験で味付けをしたり、お客さんの好む味に調理したりしていたので、NPHの調理員さんが食材や調味料の「正確な計量」を実践することはできませんでした。
 しかし、病院給食を調理する上で必要なのは、一人当たりの分量を把握して、大量調理のときに必要な分量を量れるようになること。この点は、今後「調理の基本」として、日々の作業の中で彼らに教えていく予定です。


 

毎日トゥクトゥク(乗り物)で通勤

 

調理だけでなく、配膳の実習もしました


 次回は、研修中のエピソードをお伝えします。



カンボジアの人々の食事:あま~いおやつ

(2008年7月1日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


 カンボジアのおやつと聞いて皆さんはどのようなものを想像しますか?
 季節の果物、茹でバナナ、蒸かした薩摩芋というシンプルなものから、中華風のお菓子、もち米を様々な形で使ったおやつ・・・とにかく様々なおやつがあります。安いカッパエビせんなどのスナック菓子(小袋1ケ8円くらい)も、子どもたちに人気のおやつです。

 今回は、あま~いおやつの中から、給食棟で働くカンボジア人に人気のメニューを紹介します。


 

第1位
緑豆とジャックフルーツ入り蒸かしもち米(約25円~)

     
 

第2位
米粉と砂糖を蒸かして緑豆を入れたお菓子。ココナッツミルクとゴマをかけて食べる。(1パック 約50円~)

     
 

第3位
もち米粉とココナッツミルクでできているライスケーキ(1個約8円~)

     
 

これらのおやつは、街角や市場に出ている屋台や甘味屋さんで売られています。
これは、フルーツジュース&かき氷の甘味屋さん



プロジェクトの今:調理員さん、病院外での研修に挑戦!① ~研修の目的と準備~

(2008年6月24日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


 今では、給食の調理や配膳については、すっかり慣れた調理員さんたち。これからは、病院給食としてもう少し細かな対応ができるような知識と技術を身につけてもらいたいと考え、初の院外研修を行うことになりました。
 研修は約2週間。研修先は、レストランや工場の厨房などの大量調理施設での調理を請け負ったり、そこに派遣する人員の研修をしている、カンボジア国内のNGOです。研修内容は、調理に必要な栄養や衛生などの知識を学ぶ座学と、レストランや大量調理施設での調理を含む実地訓練です。

 院外研修の目的は、第一に、調理員が給食を配膳するときに、患者の付き添い・家族に対して、栄養や衛生について、基本的なことを教えてあげられるようになること。そして、新たな調理技術を身につけると共に、調理時の計量や、献立に沿った一人当たりの分量などを学び、将来、個々の患者に対応した治療食を調理するのに備えていくことです。ここでは、病院外の人たちと共に実地訓練を受けるので、調理に携わるカンボジア人同士、刺激を受けるのではないかと、期待しています。

 現在調理員さんたちは、調理の合間をぬって、給食部の主任たちが「先生」となる講座に週2回参加し、栄養や衛生について復習したり、新たな知識を学び、院外研修に備えています。この講座は、教える側の主任たちにとっても、過去に学んだことの復習になるはずです。


 

講師役の主任・副主任(写真中央、テーブルの両脇にいる白衣の女性たち)と、調理員(テーブルの周りで椅子に座っている人たち)。
「教科書」となる資料を手に、学びます



プロジェクトの今:「要」を担う看護師さん、ただいま研修中!

(2008年6月5日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


 「ええ!また退職?」
 3月のある日、給食支援プロジェクトで働くチム・ソテアニー看護師が、近々退職するかもしれないと言ってきました。

 プロジェクトでは目下、給食部の運営部門主任アシスタント兼調理部門主任(以下、主任アシスタント)の育成に力を注いでいます。主任アシスタントは、献立の作成、食材の発注から受取り、患者数の管理などを行なう、日本で言えば現場の栄養士さんの役割を担うとても大切なポジションです。
 カンボジアには栄養士がいないので、国立小児病院(NPH)では、この主任アシスタントを看護師が兼任しています。しかし「夜勤を含む通常の病棟勤務で忙しい」「体調を崩した」などの理由で交替が多く、ソテアニー看護師は、給食部が発足した2007年2月以降既に3人目。

 度重なる交替の対策として、給食部主任・カムホイ医師の出した結論は、主任アシスタントの人数を増やすこと。複数名で分担することにより、個々の負担を減らして、給食部の仕事に携われるようになります。
 新しく選ばれたのは、ソク・ヘン看護師 とソー・プンギア看護師。ソテアニー看護師から仕事を引継ぎつつ日常業務をこなしているほか、プロジェクトや給食部の役割についてFIDRスタッフから学ぶ、やる気のある2人です。また、栄養の講義にも参加し急ピッチで仕事を覚えようと一生懸命です。

 人材育成は、カンボジア人の力で病院給食を続けていくための基盤です。何とか人材が定着し、育ってくれるように・・・と願いながら日々仕事を共にしています。


 

プンギア看護師(左)とヘン看護師(右)



プロジェクトの今:特別食の第一歩!豆乳配布を計画中

(2008年5月21日)
カンボジア事務所 五十嵐(管理栄養士)


  国立小児病院には、1歳以下の乳児や下痢症の子ども、あるいは外科病棟で多く施術される口唇口蓋裂の患者さんなど「普通の食事」が満足に摂れない子どもが多く入院しています。プロジェクトでは、このような患者さん向けの「特別食」を提供する準備を進めています。

 まずは、特別食の第一歩として、外科病棟と低栄養科の病棟において、食事が摂れない患児に豆乳の配給を計画しています。
 豆乳を選んだ理由は、カンボジアの人々が飲み慣れていて栄養価が高いことや、飲み切り個包装の市販品を患者さんに渡すことで、冷蔵庫がなく食品を保存しにくい病棟でも食品の傷む恐れを最小限に減らせることなどです。この豆乳配給プロセスを通じて、調理員さんが、異なる種類の食事を該当する患者さんに間違いなく配膳できるようになることを期待しています。

 豆乳配給を第一歩として、次は軟菜食(お粥)の提供に、将来的には他の特別食へも取り組んでいきたいと考えています。


 

口唇口蓋裂の患児に豆乳を飲ませる付き添い家族(写真は、過去に外科病棟で配布したときのもの)



病院給食に携わるメンバーの頑張りに支えられて

(2008年5月2日)


 前回に引き続き、カンボジアの国立小児病院での給食提供を支えている、FIDRスタッフの声をお届けします。

スタッフの声②~管理栄養士:五十嵐彩子

 

 日本人栄養士としての私の役割は、栄養に関する知識や病院給食の基本的な事柄について、プロジェクト・マネージャーのパン・サンを通して給食部の主任・副主任に伝えること。パン・サンがプロジェクト運営を管理し、給食部の主任・副主任が状況に合わせて調理員を指導しています。私自身、みんなの粘り強い頑張りに感心するばかりです。
 今年度から取り組む新たな大きなステップ、特別食の開始へ向けて、FIDRと給食部のチームワークが一層求められてくると感じています。

 

スタッフの声③~プロジェクト担当:スルン・ラチャナ


 今年の1月からFIDRで働いています。2月には、タイへの視察にも参加しました。
 栄養分野はこれまで勉強してきた分野と異なりますが、とても興味を持っていますし、給食システム構築という仕事は大変重要だと思っています。初めて経験することばかりなので、特に、栄養の知識や医療用語、様々な種類の病気についてなど、勉強していかなければなりません。


 このプロジェクトは、私自身や家族にとっても大切だと実感しています。私の家族はこれまで好きなものばかり食べていましたが、今は、健康になるために、栄養バランスを考えたり、摂取する食物を変えたりしています。



4月の給食配膳者数

(2008年5月2日)

 4月中旬にあったクメール正月のため、入院患者数が減少しました。



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