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バライティー豊かな、お米のデザート ~カンボジアの食文化より

(2011年6月1日)
カンボジア事務所  高橋千佳(管理栄養士)

 カンボジアでは、食事としてだけではなくデザートやおやつの材料として「ご飯」をよく使います。日本でも和菓子などでお米をよく使いますが、炊いたご飯そのものを使う機会はカンボジアの方が断然多いように見受けられます。

 たとえばこれは、バナナの葉に包まれた、おこわのようなもの。
次の写真を見て、二つの違いが分かりますか?


 それぞれ中に入っている具材が違うのですが、カンボジアの人々は、剥かなくても中身が分かるそうです。
 答えは、右側がバナナ、左側が豚肉です。    
 違いの見分け方は、バナナの葉の折りたたまれているヒダの数です。よく見ると、右側のおこわは中心にヒダが一つ、左側のものは両サイドにヒダが二つあります。具に応じた包み方が浸透するほどに、種類が豊富なのです。おこわの具材には、他にもジャックフルーツ、ココナッツなどがあり、味つけもしょっぱいものだけでなく、甘いものもあります。

豚肉のおこわには、豆なども詰まっていて、塩と胡椒で味つけがしてあります ジャックフルーツのおこわ

 また、おこわの他にもお汁粉のようなデザート(左下の写真)や、少し固く炊いたご飯を丸めた甘いお菓子などもあります(右下の写真)。
   

炊いたご飯、豆、ココナツミルクが入ったお汁粉のようなもの。甘い! ご飯を丸めた甘いお菓子

 お米が大好きで、古くから米作りをしてきたカンボジア人。その歴史と気質が、おやつやデザートにも表れているようです。




臨床栄養国際セミナーを開催しました
 ~カンボジア人医療スタッフの意識向上を目指して~ 

(2011年4月14日)
カンボジア事務所 ヴン・シヴレン(プロジェクト・ファシリテーター)

 2011年3月1日、プノンペン市にて、「医療向上に貢献する栄養管理」と題する国際セミナーが開催されました。これは、カンボジア初の臨床栄養のセミナーで、カンボジア保健省、カンボジア国立小児病院(NPH)、日本栄養士会、国際医療技術財団およびFIDRの共催で実施されました。

 このセミナーは、治療の一環として臨床栄養を推進することを目的としていました。 カンボジア、ベトナム、日本の栄養学専門家が、栄養管理の実践的な知識や、臨床栄養に関する自らの経験を織り交ぜて発表をし、カンボジア各地から集まった、医療従事者を中心とする86名の参加者は、病院における栄養管理の役割について理解を深めていました。

 発表を聞いた参加者の一人、カンポット州の助産師学校校長は、「栄養が治療の一部であるという考え方は私にとって非常に新しいものでした。我々の学校でも栄養教育は行っていますが、日本のプログラムとは違います。カンボジアでもよりよい栄養教育のシステムを構築すべきだと考えます。今はお金が十分にないとしても、まず、出来ることから始めるべきです」と熱く語っていました。

 セミナーの最後には、FIDRが給食支援プロジェクトを行うNPHの院長・チョーイミン氏が、臨床栄養発展のための施策の導入を保健省に対して提案しました。また、今後はカンボジアの病院食の基準設定のために、他の病院と協同したいという力強いメッセージを発信しました。 このセミナーで共有された臨床栄養の知識や経験が、今後、カンボジアの医療と患者の健康向上を前進させられるよう願っています。

日本栄養士会会長の中村丁次氏も、クメール語の資料を用いて発表しました 質疑応答のセッションでは、参加者から積極的な発言が相次ぎました


給食棟、一年総仕上げの日

(2011年2月7日)
カンボジア事務所 ニエン・モリカ

 新年を待つばかりの昨年12月31日、国立小児病院でも気持よく新年を迎えるため、給食部職員、調理員、FIDRスタッフの総勢14名が、厨房の大掃除を行いました。

 カンボジアでは、職場や家庭の大掃除をすることは、過去の辛い出来事を洗い流し、来るべき新年の多幸と成功を招くと信じられています。

 大掃除に先立ち、調理員たちは、食事、果物、お菓子や飲み物などを準備して厨房の片隅に供え、全員で新年の活動の幸運と成功を祈りました。 また、給食部職員、調理員、FIDRスタッフは前日に、掃除をいかに効率的にうまく進めるかについて打合せを行い、誰がどの場所の掃除を担当するのか予め決めておきました。

 そして迎えた当日。
 一同は、患者さんの給食の準備と配膳を通常通り行う一方、決定された分担にしたがって厨房の掃除を行いました。忙しい1日でしたが、みなが給食の配膳も掃除も楽しんでいるようでした。  掃除は午前中いっぱいかけて行われ、その後みなで一緒に昼食をとりました。新年を前に、関係者間の結束を高める1日になりました。




食べ物や飲み物をお供えして、新年の多幸を
お祈りしました

 

各自、担当場所を丁寧に掃除しました