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カンボジアの食生活:お魚事情

(2010年4月15日)
カンボジア事務所 ヴン・シヴレン(プロジェクト・ファシリテーター)


カンボジアでは、一般的に川魚が食されます。首都プノンペンに住む私も、スープに入れたり、焼いたりフライにして食べています。
そんな私が、先日カンボジア南部のシハヌークビル(※)を訪れました。良いチャンスと思い、普段は食べられないシーフード料理に挑戦!メニューは、海老とカニのスパイシーソースがけ、焼きイカとカニのグリーンペッパー炒め(写真左)、甘辛ソースをかけた揚げ魚(写真右)などなど・・・。


 

カンボジアで海に面した州は、3つだけ。そのため国民は、国の中央に位置する大きな湖・トンレサップ湖や、サップ川・メコン川で獲れた魚を食べることが多いのです。また、冷蔵庫など生ものを保存する器具のない農村では、その日に近くの川で釣れた魚や、魚売り・市場から買った魚がおかずになります。
最近では、冷蔵で海産物を運ぶことができるようになり、カンボジアの海で獲れた魚やカニ、貝などが、首都プノンペンの市場や「海なし州」でも見られるようになりました。ただ、値段はぐっと高めで、一般市民は気軽に買えません。

このような「魚事情」から、NPHの病院給食で提供される魚料理も、食材は全て川魚。
給食の献立を作る時には「普通の家庭でも作れる献立で、栄養をしっかり摂る」ことを大切にし、珍しい・高い食材は使いません。そうすることで、子どもが退院した後も、家族が給食を参考にして、栄養を意識した食事を作って欲しいと願っています。

(※)カンボジア南部のビーチリゾートで、カンボジア人が好む観光地の一つ。国際海洋港でもあり、経済特区としての開発も進んでいる。



プロジェクトの今:大志を胸に、目の前のことから一歩ずつ

(2010年3月18日)
カンボジア事務所 ヴン・シヴレン(プロジェクト・ファシリテーター)


国立小児病院(NPH)給食部の副主任・ソチェト医師は、2009年10~12月に、日本で栄養と病院給食についての研修を受けました。この研修で彼女の栄養に関する知識は飛躍的に向上し、仕事へのやる気も格段にアップしています。

帰国後ソチェト医師は、給食部メンバーやFIDRスタッフへ日本の病院給食の仕組みや現状を中心に学んだことを報告したのを皮切りに、「病院給食サービスの質の向上」という目標を念頭に、いくつかのことを実行に移し始めました。

一つは、厨房での衛生管理の徹底。給食部メンバー、特に調理員たちに、調理・配膳時に着用する調理服、手、調理器具の衛生管理方法を指導しました。実は調理員たち、過去のカンボジア国内研修で衛生管理について学んできましたが、日常業務で徹底するには至っていないのが現状です。ソチェト医師はこれに気づいており、調理員たちに「プロとしての意識と責任」の自覚を改めて促しています。
調理器具の使用法を指導するソチェト医師(中央)。一つひとつの細かな作業の積み重ねが、病院給食の質の向上につながるのです

また、給食部以外のNPHスタッフ向けの基礎栄養カリキュラムの改訂を進めています。これまでにカンボジアでFIDRの専門家(管理栄養士)から学んだことに加え、日本で得た知識も組み込みました。ソチェト医師がこの作業に力を注ぐのは、病院給食サービスの向上には、病院全体の連携がとても重要だと研修で再認識したからです。

日本での研修での収穫は、ソチェト医師が病院給食に関する知識だけでなく、カンボジア初の病院給食サービス構築のために求められる、より大きな体制---NPH全体の連携と保健省の理解・参画を得ていくこと---の重要性を実感してきたことです。給食部のリーダーとして、この大きな体制を創っていくという大志を胸に、一つひとつ必要な改善に取り組むソチェト医師。FIDRは彼女の頑張りを支えていきます。



プロジェクトの今:カンボジア人病院スタッフたちに、意識の変化が!

(2010年2月23日)
カンボジア事務所 ヴン・シヴレン(プロジェクト・ファシリテーター)


プロジェクト開始後、国立小児病院では新しい病院給食システムのもとすべての入院患者に毎日3食の給食を届けています。

3年半が経ち、これまでの活動を振り返り、今後のプロジェクトの活動の進め方を検討するため、評価を行うことにしました。

子どもに付き添うお母さんにもインタビュー

昨年11月から患者さんの保護者と病院スタッフ、計700人以上を対象にアンケートやインタビューを実施し、プロジェクトに直接に関わっている給食部スタッフからも意見収集を行いました。

「今の給食は、以前と比べて栄養に配慮され、種類も豊富で、とても良く調理されていると思います。食事は、薬よりも重要な「治療の一部」であり、患者さんの健康維持にとても役に立っています。給食を患者全員に配膳するようになってから、退院後、再入院する患者さんの数が減ったような気がします」
ある病棟の看護師長が、インタビューで語ってくれました。

このプロジェクトが始まる前は、病院の食事が患者の体調の回復に与える影響力を知らず、関心も無かった病院スタッフ。この看護師長の言葉から、プロジェクトが始まってから彼らの意識に生じた変化の一端がうかがえました。
最終結果が出るにはもう少し時間がかかりますが、カンボジア初の給食システムの導入が、患者さんやその家族、病院スタッフにどのような影響を及ぼしたかを、今後ご報告していきます。



病院給食支援プロジェクトのビデオを、オンラインで見ることができます!

(2010年2月2日)
FIDR東京事務所


この度、「国立小児病院給食プロジェクト」の進捗をご報告するビデオ(2009年制作)を、このホームページ上でご覧いただけるようになりました。

動画配信ぺージはこちら
※YouTubeにて配信しています

カンボジア初となる本格的な病院給食を導入するこの取り組みについて、プロジェクト開始前の状況や給食導入に至るまでの過程をご紹介しています。
ぜひ、ご視聴ください!

※引き続き、貸出も行っております。貸出希望の方は、事務局(E-mail:fidr@fidr.or.jp、電話:03-5282-5211)までご連絡ください。
※ DVDのほか、ビデオ(VHS)もご用意しています。



プロジェクトの今:調理員さん、調理学校の「実習生」に

(2010年1月19日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


私たち、初めて学校で「調理」を学んだ―――

プロジェクトで本格導入を目指す特別食を作るには、基礎知識と技術が一層重要となります。そこで、調理学校での技術研修を行うことになりました。9名の調理員は2グループに分かれ、2009年12月~2010年1月にかけて、それぞれ2週間の研修を受講します。


研修の目的は、調理の知識・技術を得る、調理機器の取り扱いと管理を学ぶ、衛生面を向上させる、一人当たり分量と調理時間に配慮できるようになること、と盛りだくさん。

過去のホテルでの実務研修と違い、調理学校では「実習生」として「先生」の細かな指導を受けます。これにより、自分の調理技術や衛生知識のレベルを客観的に見つめなおすことができます。

調理員4人に、先生1人がついて教えます

研修中調理員たちは、正しい調理方法と基本的な留意点を確認したり、計測の練習も繰り返しました。

12月に研修を終え、通常勤務に戻った1グループの調理員の中には、基本に忠実な包丁の持ち方を実践したり、まな板の下に濡れ布巾を敷いて滑らないように工夫したりと、学んだことを活かす人も出てきました。2グループの研修が終わったらふりかえりを行い、今後に活かせるようサポートしていきます。

これを機に、調理員たちが調理操作に工夫を重ね、煩雑になる特別食作りを時間通りに行い、子どもたちの疾患や体調にあった食事を提供できるようになることが期待されます。



(上)一人当たりの分量を量る練習
(下)全ての計測済み材料が揃ったことを確認して、いざ調理へ
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