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新スタッフより:満腹にさせるための食事と、人間を成長させるための食事

(2009年8月19日)
カンボジア事務所 コン・サシャー(プロジェクト・マネージャー)


 2009年5月に、国立小児病院給食支援プロジェクトのマネージャーとして働き始めてから、私は栄養の重要性を知りとても驚きました。

 これまで私は、食べることは「飢えないために必要な行為」と思っていました。しかし今は、このプロジェクトを通じて、栄養が人間の体と知能の成長や、健康管理にとって非常に重要であることがわかりました。
 
中央が、新スタッフのサシャー。
給食員さんたちとも、
良い関係を築いています。

 私はFIDRに入団する前に、カンボジアのNGOで、子どもが路上生活に陥らないための支援や、首都プノンペンに移住してきた女の子たちが人身売買などの被害にあわず生計を立てる支援を担当していました。
 このNGOには宿泊施設があり、子どもたちに1日3回食事を提供しています。しかし、ここでの食事は、栄養バランスを考えず、満腹にさせるための食事でした。一方、ほぼ同じ費用で作られる国立小児病院の病院給食は、種類が豊富で、栄養バランスが良いのです。

 このプロジェクトは、入院患者の子どもたちのためになる、とても良いプロジェクトだと感じています。カンボジア政府による、健康分野への注力はまだまだ不十分であるので、私はこのプロジェクトが、別の地域の病院、特にたくさんの子どもが入院していて、あまり予算が確保されていない、貧しい病院にも広まると良いなと思っています。



カンボジア料理には、どんな調味料が使われるの?

(2009年7月22日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 「カンボジア料理って、一体どんな料理?」と疑問を抱く日本人は、多いのではないでしょうか?

 カンボジア料理の特徴は、香草類を使うものが多く、辛くないこと。
 辛さ調整は、お好みで、または料理によって唐辛子で行います。また、肉料理よりも魚料理のほうが頻繁に食べられます。近年人々の生活が豊かになるにつれて、首都ではファストフードが広がりはじめ、食事が欧米化しています。

 家庭で使われる基本的な調味料は、魚醤・醤油・椰子砂糖・うま味調味料・塩等です。実はカンボジア人は、うま味調味料を好んで使っていました。ただ最近では「化学調味料なので、体に悪影響を与えるのでは?」と懸念し、使わない家庭が増えてきました。



 NPHの給食では、健康に配慮し、魚醤・醤油・椰子砂糖・塩を使い、うま味調味料は使いません。それは、化学合成物を避け、子どもたちに薄味の給食を食べてもらうため。うま味は、魚醤と椰子砂糖で出すよう工夫しています。

 しかしながら、給食の味付けは、調理員の経験と勘により適当に行っているのが現状です。今後、どの調理員が作っても同じ味にするため、また、特別食を提供していくためには、調味料の「一人当たり量」を把握することが大切です。そのためには、調理員が、調味料をきちんと計る習慣をつけることが第一歩です。



プロジェクトの今:病棟-給食部の連携が、特別食の配布の要です

(2009年6月17日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 国立小児病院(NPH)では2008年より、口唇口蓋裂の患者や乳児など一般食を食べられない患者に、豆乳を配っています(詳しくはこちら)。豆乳は、患者の容態に合わせて配膳する「特別食」の第一歩。配膳を重ねるうちに、病棟スタッフ―給食部スタッフの連携が強化されてきました。


豆乳を間違いなく届けるための連携
 豆乳を必要とする患者は看護師が把握し、給食部に伝えます。看護師は、給食配布の際に使う「入院患者リスト」上に、豆乳配布患者を示すマークを付けます。それを見た給食部は、マークの数に従って豆乳を準備します。これまでに、この連携が徐々に向上し、今では豆乳の配布がとてもスムーズになりました。


看護師が入院患者リストにマークを付けます。給食部は、マークが付いた患者分の豆乳を準備します   マークの付いた患者(または保護者)には、豆乳を渡します

コミュニケーションも向上!
 病棟スタッフからは「乳児はご飯を食べられないので、ほとんど保護者がご飯を食べてしまう。豆乳を配れば、乳児も飲むことができると思う」「10代の食べ盛りの子どもには、今の給食の量では足りないのでは?」など、給食の内容や配膳に関する意見が届くようになりました。

 患者の病状に合った食事を提供していく上で、スタッフの連携は必要不可欠。病棟・給食部スタッフの、一層の連携が期待されます!



プロジェクトの今:「ハイテク」調理器材の効能

(2009年5月15日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 カンボジアの一般家庭にある「調理器材」といえば、木炭を燃料としたかまどや、家庭用ガスコンロなど。国立小児病院でも、以前はかまどなどを使って食事を作っていました。
 現在給食作りで使用する調理器材は、カンボジアではまだ珍しい「ハイテク」で高価なもの。大量調理には欠かせないこの調理器材の効能とは??


●早く、美味しく!
 

【ガス式自動炊飯器】
 50人分の米を、決められた時間に炊き上げることができます。
 釜が厚く重いので、二人がかりで運搬しなければなりませんが、厚いからこそ、焦げもなくおいしいご飯が炊けます。


 

【ガス式回転釜】
 お粥やスープを調理します。
 釜の広さと厚さにより保温性が高くなり、短時間で中身を温めることができ、料理も早く出来上がります。回転ハンドルがあって、中のスープなどを取り出すのも簡単です。


●生まれた誇りと自信

 調理員さんたちは、2年の経験を重ね「ハイテク」調理器材をかなり上手に使いこなせるようになりました。また、「カンボジア国内で、稀少かつ先進的な器材を使い仕事をする」ことは、彼らの密かな誇りと自信になっています。

 一方、器材を長持ちさせるには、正しい使用と整備方法の習得が肝心です。調理員さんたちがそれらを体得し、今後、患者さんの容態により求められるどんな種類の食事をも、「ハイテク」調理器材を駆使して調理できるようになって欲しいと願っています。

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