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これって本当なの???

(2008年12月15日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 カンボジアには、食べ物にまつわる言い伝えが沢山あります。

 「レモンジュースと蜂蜜を混ぜて外に置いて露を集めたものは、のどの痛みに効く」
 「苦瓜の絞り汁は解熱に効く」
 「スダウト(苦い野菜。センダンの一種)は、病気を予防する」
 など、効能を紹介するものから、ある症状のときに食べると身体に良くないとされる言い伝えもあります。
 例えば熱がある時、ランブータン、バナナ、ドリアン等の果物を食べると、さらに熱が高くなってしまい、病気を悪化させると信じられています。
 また、筍を食べると寒気がして、下痢の症状も出るなど身体のリズムが悪くなるため、特に出産後のお母さんは食べてはいけないと言われています。

 カンボジアの食べ物にまつわるこれらの言い伝えは、昔の人の知恵や経験に基づくものもあるのですが、迷信のようなものが多いといえます。その背景には、人々が根拠のない悪いイメージを食べ物について持っていることがあるのですが、栄養学の観点から見ると、食材そのものに原因はなく、食物アレルギーや摂り過ぎ、さらには食材に細菌等が付着していたなどの衛生面での問題があるとも考えられます。

 このプロジェクトでは、子どもの患者のお母さんたちへの栄養教育を行うことを考えています。お母さんたちが迷信にとらわれることなく、栄養バランスを考え、色々な食材を用いて料理を作ることができるよう、食材の成分や効能、働き、そして食事を作る際にどんなことに気をつけなくてはいけないかを伝えていくことがポイントとなってくると思います。

 

スダウト。花と茎を茹で、料理に用います

 

野外の果物売り場。細菌が付着する可能性が高く、購入後の水洗いが重要になってきます



「給食スタッフを励ます」つもりが励まされた!

(2008年11月14日)
給食支援プロジェクトアドバイザー 草間かおる(管理栄養士)


 このプロジェクトとは、3年前に立ち上げのときから、かかわらせて頂いています。
 今回は10月16日に開催された、国立小児病院(NPH)における病院給食セミナーでの講演のためにカンボジアを訪問しました。
 NPHの給食部以外の病院スタッフ(医師、看護師、事務部門等)を対象としたこのセミナーは、病院給食のこれまでの取り組みを紹介し、今後の給食運営には、すべての病院スタッフの給食に対する意識向上・協力が必要となることを理解してもらうことを目的に行われました。

 プロジェクトの背景、目的、成果の報告ののち、私からは病院給食ガイドライン(※)の作成を中心に、給食部以外の病院スタッフたちに「病院における給食のありかたについて、シンプルにわかりやすく伝える」ことを視点において、お話しました。

 当日は、病院長のメン先生も出席されましたが、3年前のプロジェクト開始時と現在を比較すると、彼自身の食事や給食に対する理解および重要性の認識の深まりに大変感銘を受けました。これは、実際に給食を始めて周囲からの反響の大きさ(新聞等取材や見学者など)、そして毎日頑張っている給食スタッフたちの努力の成果(給食開始時から1日も給食を欠かしたことがない!)であると思いました。

 日本から病院給食にかかわるスタッフを励ましに行ったつもりでいましたが、給食部のみんなの頑張りはもちろんのこと、その頑張りが院長をはじめ、他の病院スタッフへも影響が及んでいるのを目の当たりにし、私のほうが励まされ、元気をもらいました。

※病院給食ガイドライン…患者の性・年(月)齢別、病気の種類や身体の状態などによって、どういった食事(栄養素等量・形態など)を提供するかを判断するための基準。医師はこの基準に基づき、食事の指示書(食事箋)を給食部に発行することになる。

 

私(中央)の発表。通訳はFIDRスタッフのコンリィ(左)が務めてくれました

 

熱心な聴衆。当日は60名ほどが参加しました



初めての日本訪問~多くの出会いと気付きがありました

(2008年10月15日)
カンボジア事務所 パン・サン


 9月上旬、病院見学、報告会や学会での発表のため、初めて日本に行きました。

 国立成育医療センター病院(東京都世田谷区)では、厨房器機類の衛生管理がきちんと行われているのを見ることができました。また、栄養部門と看護部門との間で患者さんについての情報共有がなされているため、給食の配膳がスムーズに行われている様子は、それがうまくいっていないNPHと比べると、感心するとともに、驚きでもありました。

 FIDR主催による報告会では、プロジェクトでの取り組み、これまでの成果や今後の課題などについて報告しました。NGOスタッフとしてカンボジアで働いたことのある方、途上国の栄養活動に興味がある方、寄付者の方などさまざまな来場者の方に、現地からの生の報告をお届けすることができました。
 日本栄養改善学会の自由集会でも発表し、栄養の専門家をはじめとする多くの方が興味を持って聞いてくださいました。

 短い日本滞在でしたが、多くの人と出会い、プロジェクトについて報告できました。また、病院をはじめ、日本で見たこと学んだこと、特に多くの日本の方々がこのプロジェクトについて理解してくれていることは、プロジェクトスタッフ、国立小児病院のスタッフ、さらには、他のNGOや保健省などにも伝えていきたいと思っています。
 日本で出会った皆様、ご支援くださっている皆様、本当にありがとうございました。

国立成育医療センター病院にて。
厨房で調理師長(写真右)から衛生管理や厨房機器などについて説明を受けました
  日本栄養改善学会での発表の様子。
短い時間の中で熱心な質疑と励ましが多数寄せられました


プロジェクトの今:調理員さん、病院外での研修に挑戦!④ ~スタッフの変化とこれから~

(2008年9月16日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 最近、調理員さんの態度が、変わってきました。

 そのきっかけは、院外研修。
 7月19日までに、全調理員さんが院外研修を終えました。彼らは研修で、新たな知識や技術、衛生概念などを学びました。

 研修後、調理員さんには、勉強した内容、研修先のホテルと病院の調理施設との違い、病院の調理場での作業や設備の維持をどのように改善していくべきかなど、疑問や意見、要望等を話し合ってもらいました。

 

研修を振り返り、自分たちの考察をまとめました


 その結果、まず、衛生への気配りが改善しました。例えば、食器・調理台等を以前よりもきれいに掃除するようになりました。また、「細菌増殖を防ぐため、床をもっときれいにしよう」、「床を磨く柄の長いブラシと水切りワイパーが欲しい」、「下処理をした食材をより衛生的に保存するためにラップを使いたい」という意見も挙げられました。

 このほか、食材の扱い方や調理の仕方、食材のバランスに配慮することの必要性などへの気付きがありました。また、料理の調理技術を向上させることができ、「もっと多様な料理を作れるようになりたい」、「美味しい料理を作れるようになりたい」と、調理員さんたちは意欲に溢れています。


 

これまであまりおかずを作る機会の無かった調理員・ソリアさんが、新しい料理にチャレンジ!

 

ソリアさん作・ミックス野菜の炒め物。盛り付け時の彩りに特に配慮しました



カンボジア人初!日本で勉強した栄養士です

(2008年9月3日)
カンボジア事務所 コンリィ(栄養士)


 今年の7月から、プロジェクト・アドバイザー・アシスタントを務めています。私は2005年に来日し、翌年から2008年3月まで、カンボジア人で初めて、日本で栄養学を学びました。今は栄養士として、栄養教育をはじめとした業務を担当しています。例えば、給食部メンバーへの栄養の講義で英語の説明をクメール語で補足したり、ホームページでの活動報告などをしています。

 私は病気にかかりやすい子どもでしたが、それは、好き嫌いが多かったからだと思います。学生時代、生物の先生に生野菜を食べることの効用を聞いたことをきっかけに、どんなものでも食べようと努め、健康になってきました。また、体に効用のある食材等を覚えたり、「酸味のあるものは風邪を予防できる」などの知識に興味を持つようになりました。この関心が高じて、日本で栄養を学ぶことにしました。
 
 日本で勉強したことの中で一番印象に残ったのは、「食」という文字は「人」と「良」に分解でき、「きちんと食べれば、人に良く作用する」を意味するということです。

 日本滞在時に、この給食支援プロジェクトをホームページで知り、とても興味を持ちました。もしこの仕事ができたら、栄養バランスの良い食事を患者さんに提供できる。そう思ったら、とても嬉しく心よりありがたい気持ちになりました。

 これからはもっと勉強して、病院の職員にも、入院患者さんにも、自分の食生活を見直して、バランスの良い食事を食べるようになってもらいたいと思っています。そして、カンボジア人に、食の大切さと、健康のために正しい食生活を意識しなければいけないことに気づいてもらいたいです。


 

栄養教育の教材の写真を作るため、
材料を計測中

 

調理員アシスタントのトレーニングの様子

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